3年ぶりの八戸えんぶり 八戸の街が賑やかさを取り戻す

3年ぶりの八戸えんぶりが幕を閉じました。2月の寒い中で行われる豊年を願う舞とお囃子が八戸の至る所にあふれ、4日間の入込数は前回2020年の約25万人を上回る約29万6千人。例年通りの数の人たちが訪れ、青森県最大規模の冬祭りが復活を果たしました。

今年は、出演順を決める「ふだ取り」を取りやめ、一斉摺りでは新たに十六日町も実施エリアに広げるなどの感染対策が取られましたが、例年とほぼ同じ規模で実施。訪れた市民や観光客は、「いつも通りの八戸えんぶり」を楽しむことができたと思います。

この記事では、初日2月17日の午前中に行われた「奉納」から「一斉摺り」までを写真でレポートします。

午前5時 3年ぶりに「山に登る」

初日の17日は、朝5時から長者山神羅神社へ。7時に始まる「奉納」に向けて、少しずつえんぶり組が集まり始めます。奉納30分前にもなると、えんぶりの衣装に身を包んだ多くの人たちの姿と、幾重にも重なる「豊年祭」と書かれた登り旗が。

午前7時の狼煙と共に奉納がスタート。聞こえてくるお囃子も、目に入る馴染みの顔も、なにもかもが「3年ぶり」。2年の沈黙を経てようやく、「800年」とされる歴史に新しい1ページを刻みました。引き締まった表情で社殿へを向かう人々の表情が、これから始まる「3年ぶりの4日間」が特別な日々になることを予感させました。

朝の奉納の様子は、こちらの記事で詳しくご紹介しています

大澤多門に挨拶

奉納を済ませたえんぶり組は、境内にある石碑「頌徳碑(しょうとくひ)」に深く一礼。この石碑は、明治14年にえんぶりを復活させた有力者 大澤多門(おおさわたもん)を讃える石碑です。昭和3年からこの地に立っています。

午前9時 まつりんぐ広場へ

その後、各えんぶり組は長者山を「下山」し、麓の公園「まつりんぐ広場」へ。降り積もった一面の雪の中で、これから始まる「一斉摺り」に向けて、お囃子を練習したり、舞を披露したり、朝食をとったりして気持ちを高めます。空は晴れ渡り、あちらこちらからお囃子や笑い声が聞こえてきます。じわりじわりと「祭りが始まる予感」がしてきます。

午前10時 えんぶり行列が動き始める

そしていよいよ、鍛冶町に列を作って「えんぶり行列」が動き始め、「一斉摺り」へ向かいます。八戸市内では八戸三社大祭が3年連続で規模縮小、八戸えんぶりが2年連続で中止という「お祭りロス」の期間が続いていました。静まり返っていた八戸の街に、甲高い手平鉦、陽気な笛、リズミカルな太鼓が響き、地域の安寧を願う大勢の人々が大きな波のようになって前に進んでいきます。

午前10時半 3年ぶりの一斉摺り!

中心街で行われる初日限りのメインイベントの「一斉摺り」。こども、おとな、おじいちゃんおばあちゃんも一緒になって盛り上がる「八戸の祭り」の姿がありました。みんな、この瞬間をどれほど待ち焦がれていたことか。

「来年こそは、来年こそは」と願いつつも見えないウイルスの脅威によって2度も「中止」に。その間にこどもたちは大きくなり、後継者不足がより深刻化した組もあると聞きます。中には「えんぶり」がないことに寂しさ・悔しさを覚えながら県外へ進学・就職した若者たちもいるでしょう。また、33組のうち2組があらゆる理由で参加が叶わず、残念な思いを抱えていた人もいたと思います。

それでもこの日、毎年当たり前のように行われていた「いつもの八戸えんぶり」の空気が、中心街を包み込みました。これだけ大勢の人がこの日を心待ちにしていたんだと思うと、ただただ胸がいっぱいになりました。

参考
青森県観光入込客統計

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