内澤崇仁さんが「あなた」に届け続けるもの。andropの音楽から垣間見る「八戸」と、聞き手への想い

制作を担当しているラジオ番組「古屋敷裕大(ふるやしきゆうた)のうたうラジオ」に、音楽グループandropでボーカル・ギターを担当する内澤崇仁さんが出演してくれました。

内澤さんとの出会いは2023年7月、八戸酒造(八戸市湊町)で行われた「八仙 夏の蔵まつり」。陸奥男山・陸奥八仙を製造する酒蔵全体を使って行われたお祭りで、内澤さんの弾き語りライブが行われた時のことでした。翌2024年の「蔵まつり」では、ギターの佐藤拓也さんも加わり、2025年の「蔵まつり」に向けても期待が高まります。

2025年1月11日、LINE CUBE SHIBUYAでの公演の様子。撮影OKになった場面で撮影。

2024年、デビュー15周年を迎えたandrop。アニバーサリーを締め括った2025年1月11日のLINE CUBE SHIBUYAでの公演はこれまでの楽曲を一気に振り返るような内容で「八戸」のトーンは低めでしたが、それでも内澤さんが描く音楽の根底には、地元の青森県、とりわけ高校時代までを過ごした八戸が色濃く残っているようです。

その証は、まさにandropの作品の中に描かれています。「海に雪が降りました」のフレーズで始まる「Basho」は白浜海岸、「Tonbi」で描く情景は八戸の神社「長者山新羅神社」周辺のアジサイやかつて八戸の主要道路の上空を飛び交っていたトンビ、2011年2月に発売したアルバム「door」のパッケージの8つの扉が重なったデザインはまさに「八戸(=8つの扉)」を込めました。

後にandropが立ち上げた事務所「image world(ワールド)」の素になった楽曲「image word(ワード)」は、2009年のリリース。内澤さんが八戸から上京するときの心境を描いたもの。andropのメンバーが東京で出会い、初めて音合わせをした曲なのだとか。

最新アルバム「hooray」には、この「image word」の再録音版を収録。2009年リリースのオリジナル版は曲の終盤のサビでテンポ感が早くなる「倍テン」が印象的ですが、再録音版では倍テンせずに曲が終わります。もともとは倍テンしないアレンジがオリジナルだったのだそう。そう考えれば、再収録版が「原曲」だとも言えるでしょう。LINE CUBE SHIBUYAでの公演で一曲目にこの曲を演奏したことからも、やはり古里八戸と東京をつなぐ「何か」が、今でも内澤さんの心の中に存在しているのだと感じさせます。

andropの楽曲は、ロックというジャンルを身に纏いつつ、どこか語りかけるような優しさを感じさせます。1月11日のコンサートで内澤さんは観客に「みなさん」ではなく「あなた」と語りかけました。「『みんな』だと薄まっている気がする。『みんな、頑張ろうぜ』と言われるよりも、『あなた、一緒に頑張りましょう』って言ってもらった方が頑張る気になると思う」と内澤さん。コンサートでは、言葉の一節一節を、いかに今聞いている人に届けられるかを意識して歌っているのだとか。

そのメッセージは、歌詞にも込められているようです。「Arata」では「迷いや不安は もう強さに変わるよ」「君がいたから僕は自分を好きになれた」、「Toast」は、「溢れる思いはグラスに注いでさ、また夢を描いてよ」、「Yeah! Yeah! Yeah!」では「君はまっすぐ前に進んでる 君の向く方が前になる」と綴ります。

andropがデビューして15年。ベースの前田恭介さんは昨年9月、青森市「クォーター」での公演の後「andropは内澤くんの成長の記録」と話しました。内澤さんは初め、自分に自信がなく、自分の声も好きではなかったのだとか。八戸のライブ関係者は「あの内澤くんが今ではスターに」と話します。「音楽がちょっとずつ成長させてくれているっていう実感がある」と内澤さん。

「古屋敷裕大のうたうラジオ」MCの古屋敷裕大さんと、andropのメンバー 青森市クォーターにて

andropのメンバーが音楽を奏で続ける限り、ひとりひとりのファンの心には自然と「八戸」「優しさ」が届け続けられるのでしょう。その「八戸」は、今まさに八戸に住まう私たちとandropのファンの皆さんが一緒に積み重ねる、ひとつの精神的な財産でもあるように感じます。

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古屋敷裕大のうたうラジオ

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